とあるギリシャ人を絶賛す

グラストも終わって、2010年も下半期に突入。夏が来ますな。フジロックのタイムテーブルも発表された模様。何気に観てみたいPARACHUTEとJOHN BUTLER TRIOがかぶっちゃうのがちょっと残念だけど、なかなかいい感じに目当てのバンドがばらけているような気が。ただ、今個人的にものすごく多忙なため行けるかどうかが非常に怪しくなってきた。 どうなる、私の夏!
あ。これ、かなり予定が立てやすい良いタイムテーブルです。
7/30 http://fujirock.jp/html/t0730.htm
7/31 http://fujirock.jp/html/t0731.htm
8/1 http://fujirock.jp/html/t0801.htm

                                                                                                                                                                                                                            • -

今回ピックアップして書き留めておきたいなと思ったギリシャ人・ジョージオさん彼はうちのホステルにロングステイしてた川端康成系 ( が何を指すのかは、前回のダイアリーを読んでもらえると有難いデス ) のうちの1人なのだけど、7月からはソロモン諸島の西に行くそうだ。私に、最後のページにWill ( 遺書 ) が書かれた小さなスケッチブックを残して旅立って行った。




ジョージオさんは、私がこのホステルで働き出して確か3日目くらいの時にやってきた、すんごい背の高い音楽心理学です。本人の自己紹介を直訳すると 「 音楽心理学者 」 になるのだけど、私が受けさせてもらったテストの内容から考えると、多分 「 音楽療法士 」 にあたるんじゃないかと思う。 歳は私と1コしか違わないのに ( 28歳 ) かなり落ち着いていて細やかな気配りのできる ”これぞ紳士 ” な人で、しかし気取ったところがなく取っつきやすい人柄だもんで、フロントが暇な時によく話して英会話の勉強させてもらってたよ。ジョージオさんはいつもフロント ( 玄関 ) 出たところのテラス席みたいなところでPCで仕事をしてたので、近くにいることが多かったんです。で、助けられることも多かった。


フロントはほんとに沢山の人たちからありとあらゆる質問をされます。 「 一番安いネットカフェはどこ? 」 とか 「 プリペイド式の携帯電話が使えないんだけど使い方教えて 」 とか 「 故郷の料理が恋しい 」(笑)とか…。どんな要望であっても意外と放っておけない質なんでできるだけ親身に答えたり調べたりしてるけど、あまりにも範疇外だったりして私が 「 う……………。 」 と言葉に詰まっていると ( しかも英会話力がまだイマイチなので、相手のアクセントによっては質問自体をなかなか把握できなかったりもした ) 、彼は自分の仕事をしながらも聖徳太子かよってくらいの聞き分け能力を以てしてテラス席からひょいっと顔を覗かせては 「 少し歩くけど○○は安くていいよ 」 などとよく助け船を出してくれた。 狭い場所のうえみんな大荷物なので、ラゲッジ ( スーツケースなど ) の移動はすごく大変なんだけど、当然のことのように持ち上げて運んでくれたもう何というか、 「 彼はうちのスタッフです 」 と言ってもいいくらい協力的だったんだ(笑)
彼のすごいところは、見返りを期待するでもなく ”当然のことのように ” さりげなく人を助けられるところだと思う。ジョージオさんがチェックアウトする日に、 「 私はあなたに本当に何度も助けられたから、最後にきちんとお礼が言いたかったんだよ 」 と言ったら、 「 まったくなんのことだか思い当たらないんだけど…なんか役に立ってたならよかった 」 と笑ってた(笑)


それから、私は彼の声のトーンや話し方のリズムにもいつも感服させられていて、それって職業柄 誰にとっても耳触りのいい声の出し方や話し方を知ってるってことなのかな?と興味深かったんだ。 とても穏やかで深いよい声をしてるんで、 「 私はジョージオの声とてもいいと思うんだけど、あなた自身は歌わないの? 」 と訊いてみたら、びっくりしてから照れながら、本国ではアーティストとしても活動していると教えてくれた。Rockではなく舞台系のようだけど。それでこんなに、静かなのに抑揚のある感情表現豊かな声なのかぁ、と納得。




そんなジョージオさんが、20日間のロングステイを終えて次の滞在先に旅立ってしまいました。なんとも言えない脱力感があるよ、まいったな。スタッフ同士でも話してたんだけど、なんだか彼は不思議な存在感のある人だったねーって。ほんとにまったく非の見つからない人だったなぁ。あんな人がいるんやなぁ〜。
チェックアウト前夜に、コモンスペースで日本VSパラグアイ戦をみんなからちょっと離れた所から観ながら2人で話してたんだけど、こうやって旅をしてるもんで いつ何が起こるか分からないので、滞在場所が変わる時に必ずWill ( 遺書) を書き直してバックパックに入れて持ち歩いてるんだとか。 「 で、今回はこずえにも手紙を書いたよ 」 と話してくれてたんだけど結局渡されなかったので、きっとそれも自分で持ち歩いていて、彼に万が一のことが起こった時に私の手に渡るのだろうと思ってたのね。
でも、送りだした日の夕方に、私が仕事で使ってる数冊のノートの間からA5版の小さなスケッチブックが出てきた。ギリシャの風景や花や舞台セットのスケッチが描かれていて、一番最後にwillがあった

ぶわっっ!!!(涙) 
どうして旅をするんだろう。例えば事故や治安的な問題で命を落とすかもしれないリスクが高くなったとしても、それ以上に得るものがあるってことは、ライターで各地を飛び回ってた自分にもよく分かる。それでも、仲間や友人との別れはいつもツライ。一応メールもskypeも交換したけど、テラス席にもうジョージオがいないんだということがショックで ( かどうかは定かではないけども ) 少し風邪をひいた。



……とか言いつつも、実は9月に本国に帰る経由地点として、1日だけジョージオ・日本カムバック予定あり(笑)。身長2m越えの彼はたぶん足のサイズも30cmくらい ( 以上? ) あって、彼が京都であつらえてきた専用スリッパが大きくて邪魔過ぎる!とのことでスタッフに捨てられそうになっていた(笑)ので、私が一応保管しとくことにしました。いつでも戻ってこい、友よ。
今の私の英語力では彼が研究している音楽療法記号論なるものがうまく理解できなかった…というか、出てくる単語がいちいち難しいので話を何度も中断せざるを得なかったので、2ヶ月後に戻ってきた時に、私の英語力がアップしててもう少し深い話ができるようになってたらいいなーという新たな夢ができました。 楽しみだ! :-)