Jónsi 12 / 4 新木場STUDIO COAST 

あまりに感動したので、久し振りにライブレポ( というかグラストンベリー・フェスティバル以外の記事 )を書きます(汗)。新木場スタジオコーストで行われた jonsi の単独公演に行ってきました!


18時開始で、話に聞いていたとおり公演はきっかり90分。19時半に終わって、これを書き始めたのが夜中の2時なのだけど、未だに「 さっき私が観てきたものはなんだったんだろう 」と放心状態です。ライブではなかった、舞台でもなかった。自然に圧倒される感覚…自然物の声を代弁した90分だった
Jónsi - Autumn tour の PV


私はサマソニ1日目のみの参加だったので、ソロとしては今回が初ヨンシー。サマソニの時は観たくて観たくて直前まで迷ったけど、今年は2日目の目当てがヨンシーしかいなかったことと、1日目で単独があると知ったので、音響の悪いサマソニで観ることもないかぁという判断……だったけどサマソニで観た人の話を聞いては羨ましくて悶絶だったよ!(笑)ほんと待ち焦がれてました、新木場を。


あんなに観客でぎゅうぎゅうのスタジオコーストを初めて見た。でも押し合い圧し合いもなく、みんなただ静かに1音も聴き逃すまいとヨンシーを見つめているようだった。どうもサマソニで観た友人や数日前の大阪公演を観た知人によると & 他国での公演の動画を観ても、メンバー・使用する楽器の種類・スクリーン映像などに大幅な変更はない様子。赤基調の鮮やかなパッチワークのシャツの腕に無数の布を垂れ下げた”例のスタイル”でヨンシー登場。ごく静かにアコースティックの「 Stars In Still Water 」から始まる。


【 SET LIST 】
1, Stars In Still Water
2, Hengilas
3, Icicle Sleeves
4, Kolnidur
5, Tornado
6, Sinking Friendships
7, Saint Naive
8, Go Do
9, Boy Lilikoi
10, Animal Arithmetic
11, New Piano Song
12, Around Us
【 ENCORE 】
13, Stick and Stones
14, Grow Till Tall


開演ギリギリに着いたため2階席はもう閉め切られていて、正直満足いく位置で観ることができなかったのだけれど、正面ではないゆえステージやスクリーン映像がよく確認できないようなアリーナの端っこですら彼はすっかり自分の世界に巻き込んで、結果私は満足すぎるくらいの感動をもらったのでした。歌はもちろんのこと、背景の映像が物語る世界がとてもドラマティック。本から飛び出してゆく森の動物たち、鳥の群れ、伸びて枯れゆく花々や木々、働き蟻の行列、激しく打ち付ける風雨……動植物すべての一生を見た気がした。Sigur Rosみたいなシンプルなステージも良いけど、これはこれで圧巻だったな。
音響もバッチリ。設備だけの要因ではないかも。あれだけ相当な音圧で、こんなに繊細で綺麗な音が出せるものかとびっくりした。聴きどころの1つでもある難解な・しかしとても心地よいリズムを刻むドラムも、迫力満点に隅々までクリアに聴こえてくる。ヨンシーの、CDで聴く以上の声の伸び・力強さも意外だった。インディアンのような羽根の飾りを頭に付けて、前かがみになり首を横に振りながら歌うヨンシーは、首に絡みついた鎖を引き千切ろうとする獣のようにも見えました。一貫して素晴らしかったのだけど、個人的に特筆したい曲が2曲ある。


1つは「 Saint Naive 」。始まりのオルガンの音色の懐かしさに、殆ど反射的に涙があふれていた。きっと誰にでもあるような、少し哀しくて思い出したくないけれどとても大切な思い出 がすべて呼び起されるような不思議な感覚に陥った。優しく繊細に紡がれていく音は、オルゴールが止まる瞬間のような優しい切なさ・寂しさを伴って私たちの心の奥に染み入ってくる。こんな人がこの世にいるのだなぁと、驚きと感動で胸が震えたよ、本当に。
以前イギリスのゲイ雑誌「 attitude 」( アート・カルチャーなどにも秀でてて写真がとても美しい雑誌です )などでけっこう茶目っ気のあることやシュールなこと言ってて「 ヨンシーも普通の人間なんだな 」となんだか安心したし、”神の子”・”妖精”などと美化する気もまったくないんだけど、特別な存在であることは否定できないなぁと思った。
Jónsi - Saint Naive


2つめは本編ラストの「 Around Us 」。あの叫びは凄かった。2分近く息継ぎなしで発声し続けてたんじゃないかな。エフェクターで抑揚を付けながら声も出し続けていたので、途中から私はシンセの音かと思ってたんだけど、混沌とした周りの音が止んだ後 そのまま素の声に戻して、尚もまだまだ伸びていく。最後も決して息は弱くなることなく、スパッと切り上げたという素晴らしさ。長く声を出したということが素晴らしかったのではなくて、そのいつ終わるかも分からない声と混沌とした音の渦で時間軸が完全に狂って、トランスに近い状態になったから。
本編ラストだったかアンコールだったか。確かに背景のスクリーンに稲妻は映し出されていたけれど、ドラムの音を主体に、完璧に雷の音を再現していた。うまく説明できないのがもどかしいのだけど、どんどん激しくなるドラムの音は完璧に荒れ狂う雷で、雷がすぐ近くに落ちた時に「 こわい 」と身震いして心臓がぎゅっとなる人間の本能を、”ライブで体感した”ことが衝撃で頭から離れない。大袈裟でもなんでもなく、自然に対する畏怖を感じた。
私は出入り口の近くだったので5人くらい運び出されるのを見かけたのだけど、あのモッシュのない会場で意外に倒れる人が出たのは、恐怖からじゃないかと勝手に想像してるんですけど、どうなんでしょう。雷すごく怖がる人っているでしょ。私は逆にわくわくしちゃう方なんだけど、それでも心から怖い、と感じたものな。


そんな凄腕ドラムの彼は、名をThorvaldur Thor Thorvaldssonというそうです…名前読めない(笑)。愛称はドッディ( or トッティ )。ずっと彼のことを、アルバム制作に参加してたMUMのサムリかと勘違いしてたんだけど、どうも違ったようです。こんなにすごいドラム叩くのに無所属みたい。Jonsiで検索した時にヒットした色んな方( 国内外 )の情報を参考にさせてもらっています。それでも情報が少ないのでちょっと定かかどうか分かりませんが、とにかくすっかり彼のファンになりました。もともと私はベースとドラムの音を「 た、たまらん! 」と感じる質なのだけど、こんなに生命力のある嬉々としたドラムを叩く人( しかもなんて幸せそうな顔するんだろう )は初めてです。観てて嬉しくなっちゃいますね :-)
ドッディのMySpace( 多分 ) http://www.myspace.com/thorthedrummer

これは埋め込みできないんですが、背景の映像が一番きれいに映っている動画かと。http://vimeo.com/16299637



オフィシャル( English )http://jonsi.com/home 
EMI内のオフィシャル http://www.emimusic.jp/artist/jonsi/  http://www.emimusic.jp/intl/jonsi/